太陽と大地と水と空気が育んだ圧倒的なおいしさ

La locanda del pittore

ラ・ロカンダ・デル・ピットーレ

今から約40年前、世界放浪の旅をしていた辻伊佐男氏と一人のイタリア人との偶然の出会いが、この店の原点である。インドやアフガニスタンを共に旅し、それぞれの旅へと別れた。数年後にふと思いついてイタリアの彼の元を訪ねると、そこはピッツェリアだった。辻氏は居候をしながら、ピッツァ作りを体で習得していった。
1984年には新潟県の岩原スキー場にピッツェリアを開店。冬の間は日本に帰り、夏はイタリアへという生活が続いた。煉瓦造りの窯で、薪を使って焼き上げるピッツァのおいしさに、地元や東京から訪れる熱烈なファンが増えていった。

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自分たちで窯を造り、薪を割り、畑で野菜を育てる。それらは、ここではごく当たり前で、ごく自然なこと。「ラ・ロカンダ・デル・ピットーレ」には、スローフートという言葉などあえて意識することなく、その哲学は確かに息づいている。「イタリアで覚えたことを、そのまま普通にやっているだけ」という気負いのない料理が、食する者すべてを魅了する。

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Endless Happy Story

薪の炎のように熱いハート

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畑を耕すときから、薪を割るときから、すでに料理は始まっている。面倒くさく、まわりくどいが、必然的な仕事だとオーナーの辻氏は考える。料理を作るだけならばどれほど楽だろう。しかし、すべてに関わりながら料理を作れるということは、このレストランのスタッフが味わえる贅沢な醍醐味かも知れない。「きちんと仕事を積み重ねた人が作った料理はどこかが違う、とお客様は感じてくださっているようです」と辻氏は語る。
畑で野菜が育ち、薪が積まれ、目の前で生地が捏ねられ、目の前にいる人が割った薪で焼かれるピッツア。本当のことが、我々の前で展開する。ここではすべての工程が目に見えるのだ。

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ここは三世代でお食事に訪れるファミリーも少なくない。長年続く新潟の店には、四世代に渡って訪れるお客様もいるという。気取らず、気軽においしい感動を家族全員で分かち合える喜びは、なににも増して大きいような気がする。
おいしいものと出会える喜び、あの頃のままの味に再開できる喜び、愛する人に思い出の空間と味を伝えられる喜び。「ラ・ロカンダ・デル・ピットーレ」を舞台とした喜びの連鎖は、永遠に続くのだろう。

「参考文献」
2005 summer issue The windsor Hotel TOYA

*ピットーレは、2003年より2017年まで15年間ザ・ウィンザーホテル洞爺に出店させていただいておりました。その間2008年には洞爺湖サミットG8がホテルにて開催され、その際にはイタリア料理を提供させていただきました。2017年11月をもちまして契約終了となり、ピットーレ洞爺は閉店いたしました。